【2017年版】DAWに必要なパソコンのCPUとメモリの目安

CPUやメモリのパワー不足は、DAWのパフォーマンスを制限するばかりでなく、予期しないフリーズなどを招く可能性があります。初心者の方がDAW専用パソコンを検討するとき、性能の基準をどうやって決めるべきかというヒントを、CPU・メモリの観点から簡単に紹介していきます。

DAWの動作に必要十分なスペックとは

結論から先に言うと、どのDAWを使うにしても、そしてMacであってもWindowsであっても、マシン選びの基準としては、AVIDのProTools英語サイトに載っている「System Requirements」が参考になります。

それによれば、ProToolsを動作させるのに必要な最低条件は下記の通りです。

Mac:

Intel® Core i5 processor

16GB RAM (32GB or more recommended)

Windows:

Intel® Core i5 processor

16GB RAM (32GB or more recommended)

ちなみに、英語ページである必要性は、日本語ページ情報更新が追いついていない時があるからです。コンピューター関連の情報は新鮮さが命なので、できればダブルチェックする様にしましょう。

プロツールス「システム要件」の比較スクリーンショット
2017年8月3日現在、本国サイトと日本語サイトでは、システム要件の内容が大幅に異なる。この違いが更新遅れにしろ意図的なものにしろ、基準を知る上でダブルチェックする価値はある。

Pro Toolsサイトが参考になる2つの理由

では、なぜ使うDAWに関わらず、ProToolsのサイトを基準にすべきなのか?という点ですが、これには2つ理由があります。

1.各DAWのオーデイオ処理能力には、製品間でほとんど差が無い

たとえば、「あるDAWが他のDAWよりも極端に動作が軽い」というのは、少なくとも私の経験上ほぼありません。

DAWに特典として付属してくる「バーチャル・インストゥルメント」や、それに付随するライブラリー、または特定のシミュレーション・タイプのプラグイン・エフェクトが製品によって重かったり軽かったりという事は十分考えられます。

だけど、例えばステレオ・トラックに同じオーディオ・データを貼り付けて、「DAW1の方がDAW2よりも再生処理が軽かった」という事は厳密には多少はあるかもしれませんが、実用的なレベルではほぼ無視できる範囲だと思います。

もし、仮にこういう差が顕著な場合は、一方のDAWで「マルチ・スレッドCPUを使う」という様な機能がオフになっていないかどうか、疑ってみましょう。

2.ProToolsのシステム要件はかなりシビア

たとえば、Cubaseのサイトでは、動作要件としてCPUは「Intel / AMD マルチコアプロセッサー (Intel i5 以上推奨)」、RAM(メモリ)は「最低4GB以上」とありますが(2017年8月現在)、ProToolsよりも条件が甘い事がわかります。

でも、これはCubaseがProToolsより、「軽い」という事では必ずしもありません。仮にこの「最低要件」をギリギリ満たした中古メーカー製ノートパソコンを3万円程度で買ったとします。でも正直なところ、DAWのインストールや起動は出来るかもしれませんが、トラック数が増えるほどタイムラグやノイズが顕著となり、最悪の場合、強制終了やセーブ不能状態でのフリーズもあり得ます。

Ableton Live CPUメーター
たとえば、Ableton Liveでは右上にCPUのオーバーロードを示すメーターがある。類似の機能は他のDAWにも存在するが、安全な環境を確保するためには、マックスの作業量でも50%~70%以下をキープできるマシンを目安に検討したい所だ。

用途にもよりますが、基本的に5万円以下のメーカー製パソコンなどで、打ち込み重視のトラック制作や、エディット作業、オートメションなどを含むミックス作業は荷が重いものと考えて差し支えないと思います。

ProToolsのシビアなシステム要件なら、最低でも初心者の利用範囲でスペック的に首が回らなくなるというリスクは回避する事ができるでしょう。必ず満たさなければいけない事はありませんが、信頼できる目安として判断には役立つはずです。

 補足:コア数が多いほどプラスとは限らない

最近のCPUは複雑で、「Core i5」や「Core i7」という名前だけで、能力の優劣を判断する事が出来ません。

たとえば、「Core i5」の上位モデルはクアッドコア(コアが4つ)ですが、モバイル向けの「Core i7」の中にはデュアルコア(コアが2つ)のものもあります。もちろん、ひとつひとつのコアの性能によっても能力が変わります。

ではコア数がDAWの処理にどう関係するかといえば、基本的には1つのトラックに関わる処理は1つのコアが担います。仮に5つトラックがあるプロジェクトをクアッドコア(コア4つ)のCPUが処理したとすれば、まずそれぞれのコアは1~4のトラックの処理に取り掛かり、仕事が終わり次第手の空いたコアが5つ目のトラックに取り掛かる事になります。そして、そのコアが仕事をしている間、順次仕事の終わった他の3つのコアはアイドル状態(何もしていない)に移る、という訳です。

別の具体的な話をしましょう。

まず、バーチャル・インストゥルメント・トラックに、ストックのエフェクト・プラグインを5個挿入した、CPU的にかなり重いトラックが1つだけあるプロジェクトを想像してください。

次の内、どちらのCPUがこのプロジェクトの再生処理を早く終えるでしょうか。

CPU1 : コア数1、総合処理能力4

CPU2 : コア数4、総合処理能力12

正解はCPU1です。

なぜなら、トラックが1つしかない状態では、CPU2はコア1つ分の処理能力(3)しか発揮できないからです。

DAWの使い方に予想を立ててCPUを決めよう!

たとえば、intel Xeonというプロフェッショナル向けの最大20コア以上にも及ぶ凄まじく高価なCPUがありますが、極端な話、プロジェクトに1トラックしかなければ、残り19個のコアは全部遊んでる事になり、DAW自身の処理に関するマルチコアの恩恵はまったく受けることができません。

たくさんのトラック数が必要になりそうか?動作の重いバーチャル・インストゥルメントを使いそうか?それ以外のトラック構成はどんな風になりそうか?

この辺りを大まかでもいいので考慮にいれ、ProToolsのシステム要件と照らし合わせながら、最初のパソコンを決定する目安にすると良いでしょう。